広がるクビアカの桜食害 堺市、対策予算なし 管理費から捻出

投稿者 記者・ 原

御池台小学校の食害された桜

御池台小学校の食害された桜

対策専任の職員おらず

2015年府内で大阪狭山市と堺市で確認されてからクビアカツヤカミキリによる桜の食害が止まらない。被害拡大の要因はクビアカの繁殖力以外にもありそうだ。堺市や和泉市で話を聞いた。

堺市で防除に関する情報を発信するのは環境共生課だが、クビアカ対策に専念できる職員がいるわけではない。他の仕事をこなしながら関係所管課への通知、啓発を行っている。実際の駆除は各所管がそれぞれの施設管理費の中で行っている、と是常(これつね)文和課長。

クビアカに特化した予算があるわけではないのだ。

公園、緑地の管理運営を担う公園監理課では泉ヶ丘公園事務所を通じて南区で約600の防除ネットを張ったり、薬剤を注入してきた。だが、根元にフラス(植物組織に糞が混ざったおがくず状の物質)をためた桜は増え続けている。ネットを巻きはじめた時期を斎藤博亮課長に問うと「17年ごろから」とのこと。クビアカが確認された2年後だ。

「カネない」と学校も

さらに対策が遅れたのが学校の桜だ。市教委の新村陽一学校管理課長は被害状況の把握と対策を求める通知を環境共生課から受けたのが19年だったという。その後、割り当てられた各校予算の中から対策をとっているというが、予算の上乗せはなく、予算執行の優先順位をどうつけるかは各校の判断だ。

また、市の出資法人である公園協会にも聞こうとしたが、大上哲男業務課長は「泉北の樹木は泉ヶ丘公園事務所が行う。うちは公園の清掃活動を行う団体の事務局なだけ」とつれない。

予算や人員を増やすわけでもなく、管理者ごとの対策には温度差があり、食害が進むもう一つの要因となっている。

和泉市は防除の補助金支給

一方、和泉市でも2年前に初めて成虫が確認され、現在、公園などで6〜7か所の被害が出はじめた、と話すのは市の公園緑地担当。防除ネットは実効性が不明で、薬剤注入を中心に対策をとっているという。

また、同市の農業担当によると、果樹農家でつくる果樹振興会が大阪府から研究員を招き効果的な防除法を聞くなど、民間も対策を講じ始めた。振興会の大方はみかん農家だが、一部バラ科に被害が出ているとして、振興会に防除の補助金を出している。

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記事中に掲載されている情報は掲載日(2024年2月14日)時点のものです。

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