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65歳以上の堺市民が市内の路線バスや阪堺電車などを1回100円で利用できる「おでかけ応援制度」について、堺市は対象年齢を段階的に70歳以上に引き上げる条例改正案を12月市議会に上程していたが、与党会派の維新をのぞく反対多数で否決された。永藤英機市長は昨年8月、堺市の財政は危機的状況にあるとして「財政危機脱却プラン」を発表し、「おでかけ応援制度」の対象年齢引き上げなどの案を示していたが、市議会からいきなりプランの内容に「ノー」を突き付けられた形となった。
おでかけ応援制度は、65歳以上の堺市民が南海バス、南海ウイングバス金岡、近鉄バスや阪堺電車を1乗車100円で利用できる制度。利用に必要なカードを保有している対象者は市内で約70%だが、南区は約80%と市内で最も高く、1人あたりの利用回数も南区は飛び抜けて高い。高齢者の外出のきっかけとなり、バスの乗車率の向上にもつながっていると評価する声も多く、永藤市長も市長選では制度の拡充を訴えていた。
しかし、永藤市長は当選後、市財政を精査した結果、危機的な財政状況にあることが分かったとして「市財政危機宣言」を発出。市民の負担増となる施策も含む、「財政危機脱却プラン」を公表した。
おでかけ応援制度の改正案は、今年4月から対象年齢を2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2030年度までかけて70歳からとするものだった。
これに対し、維新をのぞく自民、公明、創志会、共産などの会派は「高齢者の健康増進や公共交通の利用促進などの効果があり、事業を見直す理由がない」などと年齢の引き上げに反対。現在の財政状況を「危機的」とする市長の認識に疑問を呈する声も上がった。
これに対し、永藤市長や維新は「財政状況が厳しい中、制度を存続させるために制度の見直しが必要だ」などと反論したが、他会派の理解を得ることはできなかった。