[堺市]仁徳陵の気球遊覧、ガスの調達ムリか・運航開始の目途立たず

投稿者 記者・ 山本裕

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世界遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群のひとつ、仁徳天皇陵古墳(大山古墳)周辺で堺市などが計画している気球遊覧事業について、永藤英機市長は7月6日の記者会見で「ヘリウムガスの不足が深刻な状況でめどが立っていない」と述べ、当面、事業開始は難しいとの見方を示した。事業者は実施の意向を示しており、市も協力していくという。

永藤市長は、気球遊覧事業の見通しについて記者に尋ねられ、「今は物資も気球も届いて、準備はできている」としたものの、「実際にヘリウムガスの供給のめどが立ち、技術者が実際の運用を確認して、そこからの開始になる」と述べ、ガス調達のめどが立っても、訓練や運営準備のため、実施までには数か月かかるとの見通しを明らかにした。

このため、今夏に調達できても、年内に開始できるかどうかは、微妙な情勢だ。

また、事業の見直しの可能性について聞かれた永藤市長は「民間事業者と協議をし、継続の意思は確認している。予定通り実施ができず、心理的な負担も大きいと思うが、市も協力しながら進めていきたい」と。

気球遊覧は19年に百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産に登録されたのを受け、吉村洋文府知事や永藤市長が計画を発表。20年4月からの運航を目指していた。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響で、気球の製造や資材の日本への輸送などが大幅に遅れ、さらに、ヘリウムガスの輸入元だった米国企業のトラブルによって、ガスを調達できなくなった。

ヘリウムガスは超電導や低温実験に使われ、大学や研究機関での基礎研究には欠かせない。日本は国内で使用するガスの100%を輸入に頼っているが、世界的な半導体産業の競争や医療用MRIの利用拡大で需要が高まり、年々、入手が難しくなりつつある。19年には日本物理学会などが、ヘリウムガスのリサイクルや備蓄施設の整備などを求める声明も出している。

気球遊覧のための早期のガス調達は困難な状況が続くとみられる。

記事中に掲載されている情報は掲載日(2022年8月12日)時点のものです。

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