経費削減で「市立日高少年自然の家」廃止決まるも、契約違反や建物撤去で多額の費用負担?

投稿者 記者・ 山本裕

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和歌山県日高町に堺市が所有している青少年健全育成施設「市立日高少年自然の家」について、堺市が財政危機を理由に今年3月末で施設を廃止する条例改正案を市議会に上程。市議会は1月13日の本会議で、改正案を賛成多数で可決した。市は施設老朽化と利用者の減少による負担の増大を挙げているが、指定管理者との契約は中途解除となり、施設廃止後の方針も決まっていない。経費削減ありきの拙速な廃止に、市議会からは批判が相次いだ。

市立日高少年自然の家は1975年に開設。鉄筋コンクリート2階建ての宿泊棟と食事棟があり、小学校や青少年団体などの宿泊研修などに利用されている。

開設から45年以上経ち、老朽化が進んでいることから、市は16年度から5年間で約1億6000万円かけて改修。一方、利用者数も減少し、10年前に比べて利用者は約5割減少しているなどとして、市は財政危機脱却プランの中で日高少年自然の家の廃止方針を表明した。廃止で年間の指定管理料5700万円や今後の修繕費用などを削減できるとしている。

ところが、市議会の議論で、施設廃止後の方針も決まっていないことが判明。施設を解体撤去すれば、市のおおまかな試算によると、約10億円の費用が見込まれるという。また、指定管理の期間は24年3月までとなっていることから、指定管理者から、一方的な中途契約解除は債務不履行だとして、賠償を求められていることも分かった。指定管理の契約の中に、市側の理由による中途解除についての契約はないという。

さらに、議会に条例改正案を上程する前に、利用者らへ施設廃止を連絡していたことから「議決までに廃止前提の通知をするのは議会軽視だ」との指摘も挙がった。

こうしたことから、自民・堺創志会・共産などは検討が不十分だとして廃止に反対し、健康福祉委員会では議決は否決された。しかし、本会議では維新と公明が条例に賛成したため、委員会の議決が覆り施設の廃止が決まった。

「財政危機脱却」を掲げながら、経費削減効果を十分に検討しないまま青少年育成施設の廃止を決めた永藤英機市長に対し、市財政状況に対する認識が市長とは異なる自民、堺創志会、共産は批判を強めている。

記事中に掲載されている情報は掲載日(2022年1月13日)時点のものです。

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