[泉北]公園潰し「別案を示した」と市、ただし証拠資料示さず

投稿者 記者・ 山本裕

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※写真の左側が泉ヶ丘プールのあった田園公園を潰した跡地、右側が府営団地を撤去した跡地(いずれも近大に売却)

 近畿大学医学部移転のため、堺市が都市公園の田園公園の一部などを廃止して近大に売却したのは違法だとして、周辺住民らが公園廃止処分の取り消しを求めている裁判で7月30日、原告側住民や市の担当者に対する証人尋問が行われた。市側の証人として証言した市職員は、「近大に対し、公園用地を使わない整備を提案した」と説明し、無条件で近大の意向を受け入れたわけではないと証言したが、具体的な記録は示せなかった。

 この裁判で、原告住民らは「近大移転を実現するため、住民の意見も聴かずに、拙速に手続きを進めており、近大への売却を前提とした公園の廃止処分は違法だ」などと訴えている。

 この日、大阪地裁で行われた公判で、市側からは、2015年以降、近大移転に必要な手続きなどを担当してきた田辺浩士主幹(当時・主査)が証人となった。

 田辺主幹は、当初、近大から公園の譲渡を求められた際、「府と市は、移転用地としてビッグバン後背地を勧めたり、公園内のプール用地だけにしてはどうかと提案したりしたと、当時の担当者から聞いた」と証言。また、「府が売却する府営住宅内の敷地に、大学施設を収めることができないか、部内で検討したことがある」となど明らかにし、府や市が近大の条件を無条件で受け入れたわけではないと主張した。

 しかし、近大は「ビッグバン後背地は敷地が狭いうえ造成費用がかかる。プール用地だけでは敷地が足りない」として公園全域の譲渡を求めたという。

 また、具体的な施設計画を立案する段階でも「施設の配置を変更し、公園の売却面積を縮小させるなどした」と証言し、住民の意見を計画に反映させたとした。

 これに対し、原告側幹は「市が近大に提案したという議事録や打ち合わせメモなどの記録は存在するのか」と尋ねたが、主幹は「ない」と答えた。また、原告側が「代替公園の整備が終わるまで、公園売却を待てなかったのは、近大の移転スケジュールに合わせる必要があったからではないのか」と追及したのに対し、「開設スケジュールも要因の1つ」と認めた。

 今回の証人尋問で、審理はほぼ終了し、今後、市が代替公園の整備計画を裁判所に提出した後、双方が最終準備書面を提出して、11月11日の次回公判で結審する予定。

#堺市 #堺市南区 #近畿大学医学部移転

記事中に掲載されている情報は掲載日(2021年8月27日)時点のものです。

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