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すばるホールや近つ飛鳥博物館を拠点に活動してきた「南河内シニア文化塾」。シニア世代の充実したセカンドライフのため、地域で気軽に学べる場を提供したいと12年前、常本知之さん(79歳)が立ち上げた。〝歴史や古典・文芸を楽しく学ぶ〞をモットーに開講したが、公的援助はなく完全自主運営。団体運営の経験もなく、ゼロから手探りでのスタート。その道は決して楽ではなかった。
開講後2年間は、なかなか受講生が集まらず資金繰りにも苦労した。「もう無理か」と何度も諦めそうに。試行錯誤の末にたどり着いたのが「おもしろい講義を提供すれば自ずと受講生が集まる」という信念だった。常本さんは自らあちこちの講演に出向き、見込んだ講師に手書きの手紙を送り、講義を依頼。〝おもしろい講義〞を共に作り上げるため、招へいに応じてくれた講師にも、忌憚ない意見をぶつけた。
やがて評判を呼び、3年目を迎える頃には会員は200人に。講義も毎回満員になる盛況ぶりとなった。同塾は地域に根付き、多くのシニアに生きがいと学びの場を提供してきたが、80歳を迎えようかという今、常本さんは一度立ち止まることを決意。それは、自身の体調の変化がきっかけだった。「70代と80代では全然違う。受講生も高齢化する中、今のままではいけない」と考えるに至った。
「人生100年時代。今、80代のシニアに本当に必要とされる新しいものを作り上げたい。そのためにも少し充電したい」と語る。