[堺市南区]50年間タンポポを調査 泉北の自然との関係に着目 御池台の木村さん

投稿者 記者・ 浅利

泉北高校の木村先生

泉北ニュータウンの開発当初から約50年、タンポポの調査を続けてきた専門家がいる。泉北高校講師で、公益社団法人大阪自然環境保全協会理事を務める木村進さん(御池台)。
在来種タンポポばかりだった堺市南区で、ニュータウン造成によって何が起きたか。木村さんがけん引役となって進めてきた長年の調査で判明した、地域の自然環境の変化とタンポポの生態の相関性が興味深い。

木村さんの50年の歩みはニュータウンの造成開始から数年後に始まる。
卒論のテーマにタンポポを選び、1974年〜翌年にかけて堺市全域で調査を行った。その後1979年に上神谷高校(現・成美高校)に新任教員として赴任。生徒たちと一緒に、地域のタンポポ調査に取り組み始めた。
他校区勤務を経て、03年には泉北高校へ。そのまま定年を迎え、今も非常勤講師として同校に勤める。

木村さんが事務局長を務める「タンポポ調査西日本実行委員会」は、タンポポを通して身の回りの自然環境に関心を持つことを目的として、5年ごとに市民参加型調査を行ってきた。
特に泉北ニュータウンでは、市民団体の協力により、きわめて精度の高いデータが毎回集まっている。

継続した調査結果から、ほぼ全てが在来種だったニュータウンで、開発が進むにつれ外来種が増えたこと。
05年から20年にかけては一転して、外来種が減り在来種が盛り返していることが分かった。

木村さんは「ニュータウンでは用地の2割強を公園として現況林を残したこと、また周辺農地に在来種が多かったことが相まって、在来種の復活が進んだと考えられます」と分析している。
さらに、泉北丘陵の酸性土壌が、在来種にとっては好都合だったこともあるという。

在来種の復活は、造成後の自然環境が安定してきたことを示すと考えられているが、新たに気がかりな点も見えてきた。遅れて開発が進むニュータウン周辺地区で外来種が増えていること、そして今後行われるニュータウン再生が何らかの影響をもたらすのではないかということだ。
「タンポポが伝えてくれること、そこから私たちが何を学ぶのか」を問いかけ続けている木村さん。2025年に行われる次回の調査結果に注目している。

記事中に掲載されている情報は掲載日(2023年8月23日)時点のものです。

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