8月にシンガポールで開催された「世界マスターズ水泳選手権2025」の50メートル平泳ぎ95~99歳部門において、安田和雄さん(97歳・高辺台)が見事、金メダルを獲得した。
安田さんは水泳指導者に習った経験はなく、自己流で平泳ぎやクロールを習得し、自主練習を続けている。
生まれ育った秋田の田舎にはプールなどなく、少年時代は川で先輩らに泳ぎを教わり我流で泳いで遊んだ。英語教員、貿易会社勤務を経て、定年後は玩具会社で海外事業部を立ち上げ、75歳まで若者育成に従事した。
富田林に住んでからは、「けあぱる」のプールに日々通い、通算4200回ほどになるという。緑内障の手術をしてから片目を失明し、ゴルフ、登山、クロールは見えにくく危険なため、医師にやめるよう言われ、平泳ぎに特化することに。 国内マスターズの出場・入賞経験はあったが、世界は初出場。水泳をしている娘から「観光も兼ねてシンガポールの試合に一緒に出よう」と誘われ、彼女の所属するおおとりウイングススポーツクラブに自身も登録し、出場手続きをした。同クラブには毎週日曜、飛び込みの練習に通っている。
安田さんは今年亡くなった妻の写真に向かい「早く着くようにお尻を押してくれよ」と頼み、試合に臨んだ。タイムレースで年齢区分により順位が決まる。当日、飛び込み台には筋骨隆々の大きな外国人選手が並ぶ。レース中も妻に「頼むで」と念じながら一生懸命泳ぎ切った。「奥さんのおかげやな。お前一人の力じゃ…」と、友人と笑い合ったと楽しそうに話す。また、けあぱるやウイングスには自身の写真が飾られ、知らない人にも声をかけてもらえると喜んだ。
安田さんの元気の秘訣は毎朝1時間の散歩。並木道ではゆっくり息を吸ったり吐いたりを意識しながら歩く。庭の草ひきやグラウンドゴルフにも参加し、手足、体を動かすことを心がけている。「動いてないと廃る。年老いても家に引っ込まんと外に出ていくように」と、97歳からのエール。

