大阪府の健活アプリ「アスマイル」をご存知だろうか。ウォーキングや検診などでポイントがたまり、抽選で電子マネーや景品が当たるというもの。
19年度からNTTデータ関西と府の公民連携事業として始まった。今年度、府の予算はおよそ4億8500万円(ポイント付与費、事業者委託費など)。
アプリで収集した情報は府や府内市町村長などに提供できる仕組みだが、堺市ではこれまでデータを施策に生かした実績はない。
それにもかかわらず、22年7月から市は府に追随し、アプリ内に独自オプションを設け、60歳以上の利用者にさらにポイント付与の機会を増やすとして税を投入してきた。
予算の大半はNТТの運営費
今年度、市の予算は783万円。うち、市民へのポイント付与費は200万円で、大半の583万円が事務局を運営するNTTデータ関西への委託費やシステム利用料だ。
市内60歳以上のアクティブユーザー(月1回以上ログインした者)は3月31日時点で5700人ほど。対象者27万6千人あまりのわずか2%。ユーザーが市民のごく一部に限られ、施策へのデータ活用実績もないことから、民間事業者を太らすための事業に見える。
堺市議会でも事業効果が検証できないとして、今年3月、アスマイル事業予算を一般会計予算から減額し修正可決した。だが、永藤英機市長がこの議決を拒否、「再議」に付した。
再議とは
議会の議決に異議がある場合、市長が理由を示し審議のやり直しを求めること。再議に付された議決は過半数ではなく、3分の1の議員の賛成で可決できるため現案可決のハードルが下がる。定数47の堺市議会で16人の維新議員が賛成すれば、市長の思い通り可決されることを見越しての再議とみられている。