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西福寺(和泉市桑原町)は新年から春にかけて受験生でにぎわう。桑原には「くわばら、くわばら」と唱えると雷が落ちないという雷除けの伝説がある。雷は「天神」ともいう。天神とは学問の神・菅原道真公のこと。雷=学問の神・菅原道真が落ちない、ということで合格祈願に訪れるというわけだ。
学問に秀で右大臣にまでなった道真公だが、藤原時平の讒言によって醍醐天皇が太宰府への流罪を決定。道真公が太宰府で失意の内に亡くなった後、災いが続く。時平の陰謀に加担した道真公の弟子・藤原菅根が落雷で死亡。時平は病死。そして宮中の清涼殿に落雷し、甚大な被害が出た。
醍醐天皇穢れを忌む宮中で凄惨な現場を目にした衝撃から3か月後に崩御。皇太子・保明親王と、保明親王の息子で時平の外孫でもある慶頼王が相次いで病死。道真公の怨霊の仕業と噂され、事態を重く見た宮中は北野と太宰府に天満宮を建立し、怨霊を鎮めようとした。
元々火雷神が祀られていた北野の御祭神となった道真公は天神として信仰され、菅原家縁の京都の桑原町には雷が落ちないと言われるようになった。
和泉市桑原町は北野天満宮の社領だった所で、同じく雷除けの御利益があるとされた。しかも、ここには雷にまつわる面白い伝説がある。ある時、重源上人が雨乞いの祈祷をしたところ、雷様が天から落っこちた。
重源上人のお堂の横にある井戸で洗濯していた老女は、井戸に雷様が落ちたのを見てすかさず盥で蓋をした。そして雷様にこれからは桑原に雷を落とさないと約束させて天に帰らせた、というものだ。大阪のおばちゃんの交渉術おそるべしである。