(郷土史家 檜本多加三<檜尾在住>)
上神谷の奥に、襲峰(おそいのみね)という所がありました。うーんと昔に天照大神が鳳凰となってこの峰に降り立ったから襲峰と言うようになったとか、いや日本武尊(やまとたけるのみこと)が白鳥となってこの峰に降り立ったから襲峰と言うようになったとか、いろんな伝説の土地でした。

こんな上神谷の奥の峰に、お坊さんが庵を作って住むようになりました。村の人々の言うのには、「とっても徳の高いお坊さんで、庵も精舎(しょうじゃ)と言うらしい」とか、「天竺(てんじく)(インド)の人らしい。播磨の国の法華山に来て、法華経を詠み、密教も会得して、空を飛んで襲峰までやってきたらしい」との話。
村の人々が、恐る恐るお坊さんの所に行くと、お坊さんはお経をあげているだけで、外に出て行く様子もありません。「はて、どうして食べものを手に入れてるのだろう?」と思っていると、ご飯や菜汁の入った鉢が空から庵の中に吸い込まれるように入っていくではありませんか。
これを知ってから村人たちは、襲峰のことを鉢ヶ峰と言い、鉢ヶ峯とも書くようになりました。そして、こんな不思議な能力を持つお坊さんの名を尋ねると法道仙人だということがわかり、この精舎の長福寺をもいつしか法道寺と言うようになったとか…。



