[堺市南区]泉北の笹無し山/槇塚台

投稿者 コミュニティ

泉北ニュータウンむかし物語

(郷土史家 檜本多加三<檜尾在住>)

泉北ニュータウンと大阪狭山市との境目辺りには、弘法大師(空海)ゆかりの「陶器山七不思議」と呼ばれる場所があります。いずれも弘法大師ゆかりの有難い場所かと思いきや、1か所だけ「人間くさい」話の場所があって、そこを「笹無し山」と呼んでいます。

「笹無し山」があった場所とされている陶器山トンネル槇塚台側の緑地帯
「笹無し山」があった場所とされている陶器山トンネル槇塚台側の緑地帯

 


「お大師さま。風が出てきたようです」

「そうじゃな、笹が揺れておる」

「お大師さま。風が強く、笹の葉の音がやかましくなってきました」

「そうか。笹の葉が風に揺れて、やかましいとな」


 

弘法大師は、そう言うが早いか、両手を合わせ、真言らしきものを唱えました。すると周囲の笹は一瞬にして枯れ、以後、この地に笹が生えなくなったので「笹無し山」と呼ばれるようになったと言うのです。

他の6か所は、水が湧いたり、病気が治ったりの有難い話ばかりなのに、この笹無し山に関しては、あまり有難い話とは思えません。それどころか、もう一つの笹無し山伝説さえあるのです。

 


「お大師さま。お顔の色が悪そうに見えるのですが…」

「そうじゃ。どうも腹の具合が悪くてな」

「それは大変」

「いや、そちは先に行ってくれ。わしは、この笹やぶの中で用を足していく」

「それでは、お言葉通りにいたします」


 

弟子を先に行かせ、笹やぶの中で用を足した弘法大師は、そばにある笹の葉でお尻を拭きました。ところが、その笹の葉は弘法大師のお尻を傷つけてしまったのです。それ以来、この土地に笹は生えなくなってしまったとも伝わります。

有難い伝説ばかりの大師信仰に傷を付けるような話ですが、陶器山七不思議の一つとして伝わっています。

 

※JA堺市の広報誌「CROP」に連載中の「創作 堺むかし話」から、泉北ニュータウンにちなんだ場所のお話を掲載します。
創作 堺むかし話
記事中に掲載されている情報は掲載日(2026年4月19日)時点のものです。

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