(郷土史家 檜本多加三<檜尾在住>)
「はなちゃん、どうしたん。元気ないな」
「うん。赤ん坊が夜泣きして困ってんねん。お義父さんもな、泣き声が気になって眠られへんから、翌日の仕事に差し障るって怒るし……」
「そりゃあ大変やなぁ。そうや、いっぺん試しに上村の夜泣き地蔵にお参りしたら」
「夜泣き地蔵って、あの放光寺の池の中にあるお地蔵様のこと?」

現代では、赤ちゃんが泣いても気管支が強くなっていいとか、赤ちゃんは泣くのが仕事だからと寛容になっていますが、昔は、朝早くから夜遅くまで仕事に従事した農家では赤ちゃんの夜泣きに悩んだり苦しんだりしたものでした。
そこで泉北では、美木多上の放光寺の弁天池の夜泣き地蔵が信仰を集め、夜泣きに苦しむ親たちや家庭のお参りが絶えませんでした。
現在では、放光寺が泉北ニュータウンの中に囲まれた土地になりましたが、ニュータウンにお住まいの若いお母さんたちのお参りを見かけることもあります。

少子化と言われる今、赤ちゃんの成長がすくすく見られるようにと祈る一方、子育てに悩むお母さん方にとって、夜泣き地蔵が気持ちの上だけでも「救いの一助になれば!」と願わずにはいられません。
子育ては、人生最大の事業の一つだと言葉で分かっていても、若いお父さんやお母さんにとっては、夜泣きや病気や……と気苦労の絶えないのも事実。せめて周りの私たちだけでも、夜泣き地蔵と共に子育て家族への応援支援をしたいものです。
※JA堺市の広報誌「CROP」に連載中の「創作 堺むかし話」から、泉北ニュータウンにちなんだ場所のお話を掲載します。


記事中に掲載されている情報は掲載日(2026年2月15日)時点のものです。




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