日本創世の神話にして日本最古の歴史書「古事記」。その物語に登場する神々の姿を20年以上描き続け今年3月、日本芸術界において功績顕著な芸術家を優遇するための国の栄誉機関「日本芸術院」の新会員の一人に、南区在住の洋画家・小灘一紀(こなだいっき)さんが任命された。
「言い伝えを聞いて育った。スサノオは山陰の守り神。段々と成長していく物語なんだ」と話す小灘さんは、1944年鳥取県境港市出身。生後すぐ父が戦死、隣に住む芸術に造詣(ぞうけい)が深い叔父が毎日の食事の時間に美術、音楽、文学の話をしてくれたという。
絵を描くことが得意な小灘さんは、近所の美術の先生のもとに通い、島根半島での写生を楽しんだ。高校で本格的に絵画を学び、大学では彫刻を専攻した。
自身の絵画作品には立体的な描写が多く「彫刻の要素がある」と評される。そこに「洋画は何が本質か、人間を追求する」とリアルにものを描く西洋画の性質が融合する小灘さんの作品。
「古事記」を題材にした作品は50点を超え、物語の読解に加え、日本の歴史や日本人の精神性を深く理解したうえで制作に取り組んでいる。
日展理事・日洋会理事長として多忙な中での任命に「驚いた」と話す。堺市の美術界への貢献も大きく、作品の寄贈や堺美術協会会長(現顧問)、泉北の美術を育てる会副会長を歴任。来年には堺市での展覧会も計画中だ。
目に見えないものを大切にする日本文化を、絵を通して伝える小灘さんは「苦悩から立ち上がっていく、そういう姿を描き続けたい」と力強く語った。

