棋士編入試験に挑戦していた、大阪狭山市出身の女流棋士・西山朋佳さん(29歳=写真)だが、惜しくも編入試験突破はかなわなかった。
将棋界は、男女の区別なしのプロ棋士(一般に〝棋士〞と呼ばれる)と、女性だけのプロ棋士(女流棋士)という、2つのプロ制度がある。〝棋士〞になるためには、棋士養成機関である奨励会で、26歳までに四段に勝ち上がらなければならない。西山さんも奨励会に挑戦し、好成績を収めたが、惜しくも次点となり、一度は棋士への夢が絶たれた。
その後、21年に女流棋士に転向し、大活躍。現在、白玲・女王・女流王将の3つのタイトルと、永世女王・クイーン王将の2つのクイーン称号を保持する、トップ女流棋士となった。
〝棋士〞になるためには、もう一つ方法があり、棋士の公式戦で一定以上の成績を挙げ、棋士編入試験資格を得て、同試験を突破することだ。西山さんは、24年の公式棋士戦で勝ち星を積み重ね、棋士編入試験の資格を獲得した。女性で編入試験資格を獲得したのは、史上2人目である。
棋士編入試験は、新人棋士5人と対戦し、先に3勝すると突破となる。9月24日の第1局から、毎月1回、対局が行われ、第4局までの成績は2勝2敗。最終戦の相手は、奨励会時代に5戦して一度も勝てなかった柵木幹太四段。苦手とする相手に「勝てるイメージがわかなかった」という西山さん。第5局を落とし、史上初の女性棋士誕生はお預けとなった。
世紀の対局の結末に、全国の将棋ファンから落胆の声がもれた。それでも西山さんは、「奨励会を辞めたのも棋士を諦めたという意味ではなかった。女流棋士界を盛り上げつつ、また一から頑張っていきたい」と、前を向いた。