新型コロナワクチン接種の副反応が疑われる死者は、堺市で15人にのぼっていることが「予防接種後副反応疑い報告書」と予防接種健康被害救済制度の請求状況から分かった。
厚労省から大阪府を通じ市に提供された疑い報告書は、今年8月20日時点で170件(1件重複のため実数は169件)=表に一部抜粋。
疑い報告書は副反応との因果関係が評価できない場合も含めて、医師が医薬品医療機器総合機構に報告、機構は厚労省と情報を共有し、厚労省が市町村に報告内容を提供する仕組み。
一方、予防接種による健康被害救済制度は被害者等が市に請求(今年度以降の任意接種分を除く)、市から府を経由し厚労省に進達(しんたつ、市役所が受理した申請書類を厚労省に送ること)、厚労省が疾病・障害認定審査会の意見を聴取したうえで、認定か否認を決定する。決定に不服がある場合は、大阪府に対し審査請求(不服申し立て)を行うことができる。9月30日時点で、医療費や死亡一時金、葬祭料、障害年金等の請求件数は市内で56件。うち29件が認定、8件は否認、19件が審査中。
救済制度利用わずか3件
また、請求件数のうち、疑い報告書の提出があるもので救済制度を利用したのは、8月時点でわずか3件。給付金等の請求には健康被害の状況により、必要書類が異なり、収集に手間がかかる。さらに、副反応に苦しむ被害者が、受診証明や診断書をそろえるために医療機関とコンタクトをとること自体、大きな負担だ。
この点について、被害者をどう支援するのか、感染症対策課の稲葉和紀課長に聞くと、請求手続きに必要な関係書類の収集への支援や困りごとの相談に応じていく考えを示した。