撤去したソメイヨシノを1本も植え替えず
7月25日号で原山公園の再整備後、緑道の維持管理がおざなりにされている問題を報じた。今回は緑道の施工について、市が最低限守るべき項目として事業者に示した「要求水準書」の内容と整備後の実態が合致しているかを検証する。
要求水準書には「緑道の付替えにあたり、緑道際のソメイヨシノの撤去が必要な場合、付替え後の緑道脇にソメイヨシノを植替えもしくは新植を行うこと」と記している。ところが、再整備で緑道から撤去されたソメイヨシノ20本のうち、植え替えられたものは1本もなかった。新植されたのは緑道中央の植栽桝に18本のアマノガワという品種の幼木だ。そのアマノガワは4年経った今も枯れては切られるということを繰り返している。
そこで本紙が「要求水準が実行されたことを当局が確認した資料一切」を公開請求したところ、公園緑地整備課は緑道エリア外のかもめ広場などに新植したソメイヨシノの幼木の写真を公開した。緑道脇ではない、と本紙が指摘すると日和佐真之(ひわさまさゆき)公園緑地整備課参事は「緑道から3〜4メートルに位置しているため『緑道脇』といえる」との認識を示した。
熱中症の配慮イマイチ
また、要求水準書の緑道の項目には「既存の通行機能を確保すること」と明記されている。かつてあった緑陰は、景観だけでなく夏の厳しい輻ふく射熱を遮る機能も併せもっていた。だが、現状はこうした機能を確保したとは言いがたい。
その点を日和佐参事に質すと、水準書が求める「既存の通行機能」とは歩行者と自転車が分離して通行できるよう求めたものにすぎず、緑陰は「既存の通行機能」に含まれない、と現状に添った認識を示した。
市は工事が要求水準に合致していると考えているようだが、そうだとするなら要求水準自体が住民の要求からずれていたといえないだろうか。
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