三原台の近大病院敷地内に設置された空冷設備により、近隣住民が低周波騒音に悩まされている。問題となっているのは、研究棟に隣接設置された空冷ヒートポンプチラー。冷却液を循環させることで建物内の熱を外部に排出する装置だ。
病院北側に立地するマンションの住民有志が、昨年12月に実施したアンケート調査(59戸中37戸が回答)によると、南側住戸を中心に睡眠障害や吐き気などの体調不良が12戸で発生、深刻な健康被害も複数あることが分かった。
住民らは近大に対策を講じるよう今年1月に要望書を出し、病院側と協議を重ねてきたが、6月3日時点で解決に至っていない。
本紙は堺市と関係者との間で交わされたメールや電話の会話記録を入手。それによると、チラーの移設を提案する住民側に対し、近大側は①研究棟屋上への移設は北側隣地境界線の騒音値が規制を超過するため困難②渡り廊下西側への移設は防災上の観点から設置不可と回答した。
堺市は問題が持ち上がった段階で、環境対策課が現地で昼夜の騒音を測定。一般的な騒音については基準値以下だった。一方、低周波騒音については、国が規制基準を設けていないため、その発生を認めたとしても、事業者に指導することができない。基準がない以上、近大側に法的責任はないものの、医療機関としての道義的責任は免れない。また、病院誘致を働きかけた堺市も事態をある程度予測し得たはずで、民間同士の問題、と静観するのは無責任だ。
というのも低周波騒音を巡る問題は、90年代から増加、公益社団法人・日本騒音制御工学会には、住民の苦情を直接受ける自治体職員から、規制がない中でどのように対応すればよいか、と言った相談が繰り返し寄せられている。
加えて、低周波騒音は家庭用ヒートポンプ給湯器でも発生し、消費者庁が健康被害の事実を公表したのは10年以上も前だ。堺市議会は2016年、対策に係る意見書を国に出している。
だが、国の動きは鈍い。立法事実(立法を根拠づける社会的事実)があるにもかかわらず、長年、問題を放置してきた。今後、市は国にどう働きかけるのか。対応は急務だ。

