維持費は年間2.3億円に
3月20日、さかい利晶の杜は開館10周年を迎えた。関連イベントやセレモニーで、同館にはお祝いムードが漂ったが、市民にとっては祝ってばかりもいられない事情がある。
ランニングコストに毎年2・3億円ほどかかるが、来館者数が減少し、設置目的である「賑(にぎ)わいの創出」にはほど遠い現実があるからだ。
左表は当局が提供した年度ごとの来館者数。もっとも、総来館者数(無料スペース含む)については、19年度の包括外部監査で、総来館者数を入り口に設置のセンサーでカウントしたとして、ダブルカウント、トリプルカウントの可能性を指摘されているため、あくまで公称の数字。
20〜22年度は新型コロナウイルス感染症流行で稼働日が少なかったが、23年5月に同感染症が5類感染症に移行した後も来館者数は戻っていない。
旧市立堺病院跡地の活用法として34・4億円のコスト(うち89%は借金)をかけ建設されたことなどを、勘案すれば祝いムードは吹っ飛ぶ。
コンセプトについて、それなりに議論を重ねたようだが、ネーミングを「利晶」とするなど、他都市の観光客からすればピンとこない、訴求力の乏しい妥協の産物と化してしまった。
人件費の増加で今後、同館を管理運営する指定管理者への市の支払いは増えることはあっても、減ることはない。経年につれ施設の修繕費もかさんでくる。
このままでは今後10年で、最低でもさらに20数億円を払い続けることになる。
観光効果イマイチ
開設当初、当局が「観光の集客に資する」としたうたい文句もイマイチ果たされぬまま、同館の所管課は昨年、観光部観光推進課から国際文化部文化課へと移った。集客の助けとならないことを認めたように見える。