「手間や時間かかる」 薬剤注入「委託費が膨らむ」
特定外来生物クビアカツヤカミキリによる桜の食害が深刻な南区の公園、緑道で、防除手段の一つである薬剤の樹幹注入が、2024年度に1本も行われていないことが分かった。
防除方法には主に薬剤の樹幹注入、防除ネットの設置、羽化期の薬剤散布があるが、そのうち樹幹注入は手間がかかり、作業を行う時間帯や天候を選ぶため業務委託費がかさむことが理由の一つ。
被害が軽微なものに限定
泉ヶ丘公園事務所によると、樹幹注入が有効な被害木は、被害の程度が深刻でないものに限られるという。根元に注入した薬剤を吸い上げることができる一定程度健全な幹でなければ効果が見込めないためだ。そのため、対象を選定する判断が必要となる。
実際の作業も①木工用ドリルなどで根元に10〜15センチ間隔で穴をあけ、アンプルを挿し込む②薬剤を無駄なく注入するため、開ける穴の角度に気を配る③薬剤注入後に殺菌保護剤を注入④被覆塗布剤で穴に蓋をする、という工程だ。時間も手間もかかり、十分な予算が確保されなかった昨年度までに実施するのは困難だったと見られる。
一方、市公園監理課によると、観光誘客を進める大仙公園では昨年度40本のクビアカ被害木に樹幹注入が行われたという。こんなところにも観光優先の市のスタンスが垣間見える。