狭い歩道での走行に疑問も
堺市は大阪府住宅供給公社およびOpenStreet株式会社(東京都港区)と連携し、泉北ニュータウンでの歩行領域モビリティ(時速6キロ以下、歩道または路側帯を走行する電動カート)「コモビ」のシェアリング実証事業を昨年11月から実施しているが、今年3月21日までの利用者は6人にとどまっていることが分かった。
市はニュータウンでの電動カートのシェアリング実証事業を2022年度にも事業費300万円をつぎ込んで実施、「買い物難民問題」解決の一助となるかが注目されたが、ニューデザイン推進室によると、人件費がかかりすぎ、貸出しステーションの確保もままならず、事業化は見送られた、という。
果たして理由はそれだけだろうか。ニュータウンの狭い歩道で、歩行領域の電動カートは使いにくいのではないか、という疑問もよぎる。実際、南部地域整備事務所にも歩道が通行しづらい(凹凸や雑草の繁茂など含む)という苦情は毎年、何千件も寄せられている。
この点について、24年度スマートシティ担当課長だった石﨑典和氏は「泉北には幅員のある緑道が張り巡らされている」と、狭い歩道が事業化のネックになるという考えを否定した。
たしかに緑道の幅員は十分だ。が、その緑道沿いの近隣センターではスーパーマーケットが、医療センターでは診療所撤退が相次ぎ、緑道の機能自体が落ちている。高齢者には買い物や通院で、緑道以外を移動しなければならない現実がある。
南部地域整備事務所は予算の範囲内で一部歩道の拡幅工事や街路樹の間引きを行っているが、歩行領域モビリティが安全に走行できる歩道は限られている。
実現性の低い事業に職員のマンパワーを費やすより、ニュータウンの実態に合致する施策が必要では。