泉北ニュータウンの医療センターや住宅地内で、医科、歯科診療所の閉院が相次いでいる。一方、新規開設される医科、歯科診療所の多くが、駅前ビルに立地していることが分かった。かつてニュータウンの緑道沿いに歩いて通院できたかかりつけ医が、高齢者にとって遠い存在となりつつある。
別表は堺市保健医療課に2019年4月1日〜25年2月20日の間に届け出のあった廃止届のうち、個人医院が法人化したり、親族内で継承した場合などを除いた閉院診療所。医科・歯科を合わせ25件あった。そのうち、17件が医療センター内か住宅地内に所在していた。(ニュータウン以外の地域や閉院した同所在地か徒歩圏内で同一診療所によって新設された場合を除く)。
一方、新規開設は医科、歯科診療所のいずれも駅前ビルでの届け出が多く、トナリエ栂・美木多(8件)、ジョイパーク泉ヶ丘(4件)光明池アクト(4件)などがあった。
かつて堺市が「住みなれた地域で暮らし続けるため必要なこと」についてアンケートを実施した際、一般高齢者や要支援認定者では「気軽に相談できるかかりつけ医を持つこと」が64・3%で最も多かった(高齢者等実態調査報告書=2022年度)。
こうした声がある一方でニュータウン内の医療センター内から身近な診療所の閉院が続いている状況を市はどう受け止めているのか。泉北ニュータウンの施策推進を所管する泉北ニューデザイン推進室に聞こうとしたが、そもそも担当者さえいなかった。
15年前、市にニュータウン地域再生室が設置され、「泉北ニュータウン再生指針」が策定されたが、いつの間にか「再生」の2文字は消え、現在は「泉北ニューデザイン推進室」に変わった。駅前以外、再生を断念したということか。