費用は市と業者が折半 29年度まで継続予定
堺市は2025年度予算に子ども気球体験経費616万4千円を計上した。また、26〜29年度まで同事業を継続するため6200万円を限度額として、支出したい考え。
体験事業の対象は市内在住の小学3〜6年生と中学生で搭乗チケットを配布するというもの。市内在住の子どもの搭乗料は1900円で、体験事業では、このうち半額を市が補助し、残りを運行事業者が負担する。
だが、肝心の気球は一昨年5月に原因不明の事故でしぼんだままだ。当局は運行再開は大阪・関西万博開幕には間に合わないが、開催期間中の再開を目指すとしている。再開には運行事業者が新たな気球とヘリウムガス購入のための億単位の資金を調達できるかどうかがカギだ。
昨年12月4日の市議会本会議でガス気球運行を公約とする永藤英機市長に、渕上猛志議員(堺区選出=堺創志会)が事業者から資金を回収するプランを立てた上で、市が資金を立て替える覚悟があるか問うたが、永藤市長は「鋭意努力する」などと答弁するにとどまった。
「鋭意努力」の「鋭意」は、どのように施策に反映されたのか、木下智尋観光企画課長に聞いた。木下課長は「子ども気球体験事業費を5年にわたり予算化することで、間接的に運行事業者を支援するということだ」と。
だが、同事業費を予算化するのは今回がはじめてではない。21〜23年度も予算として上げていたが、気球事故翌年の24年度は予算化を見送っている。
もともと計上していた予算をいったん引っ込め、再予算化しただけで、運行事業者が億単位のリスクを負えるかが焦点だ。
巨額投資に懸念
気球事業者を市がプロポーザル方式で選定する際、2者しか応募がなく、その両者について、公認会計士で選定委員を務めた西村智子氏は、会社の規模に対し投資が大きいと感じる、と意見を述べていた。順調に事業が滑り出したとしても巨額投資が危ぶまれていたのだ。
一度は準備した気球やヘリウムガスを失い、再度準備することの事業者負担について、木下課長に問うと「(金融機関からの融資だけでなく)クラウドファンディングや協賛金などを呼びかけることで安定的運営を目指したい」と語った。