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地裁判決 代わりを設置しなくても
近畿大学医学部移転のため、堺市が都市公園の田園公園の一部などを廃止して近大に売却したのは違法だなどとして、周辺住民らが公園廃止処分の取り消しを求めていた訴訟の判決で大阪地方裁判所は3月3日、市の手続きに落ち度はなかったなどとして、住民の請求を退けた。住民が裁判を起こす権利(原告適格)は認めた。
裁判で、住民側は地域住民への説明前に公園の売却を決めたことや、代替公園がいまだに設置されていないことを挙げ、「みだりに都市公園を廃止してはならない」と定めた都市公園法に違反していると主張。都市公園の廃止を決めた市の処分の取り消しを求めた。
これに対し堺市は、住民らに公園廃止によって侵害される権利や利益はなく、裁判を起こす資格(原告適格)がないと主張。代替公園についても、法律には公園の設置時期について明記されていないうえ、公園予定地は府から譲渡される見込みがあったとして都市公園法には違反しないと反論した。また、公園廃止を決めた手続きについても、住民の意見を聞き、計画を修正しながら進めており、適法に行われたとした。
判決では、公園が災害時の避難場所になるとして住民の原告適格を認めた。そのうえで、代替公園の用地引き渡しが府との間で話し合われ、土地の賃貸契約も結ばれていたことから、公園の廃止処分時には市が代替公園用地に実質的な権限を持っていたと判断。その後、都市計画決定も行われたことなどから、合理的な期間内に代替公園が供用される見込みがあったなどして、違法な公園廃止にはあたらないとした。また、住民の公聴会や都市計画審議会も開催されていたことから、一連の手続きに落ち度はないとした。
原告代表の前川賢司さんは「このような言い分が通るようでは、自治体は住民の意見を聞かないまま勝手に物事を決めて良いことになる。控訴して戦いたい」と話している。