大阪狭山市金剛2丁目のすりばち池を埋め立て、戸建て住宅約50戸を建設する工事が動き出す。10月に着工予定。
市が売払い条件付き一般競争入札にかけた同池およそ1万3600平方メートルは、昨年11月にフジ住宅株式会社(岸和田市)が12億4300万円あまりで落札、分譲住宅の建築が発表されていた。
今年4月に事業者が事業計画書を市に提出、地元住民への説明(説明会ではなく資料をポスティングする方法による)も行われた。
事業計画書によると、まず、池に隣接する公園地下に通水管を通し、富田林市域から流入する水を北側に位置する「ひつ池」に流す。その後、池を埋め立て、1戸当たり150平方メートル〜200平方メートルの分譲住宅を建築するというもの。
ただ、池の埋め立てには地元住民から懸念の声も上がっている。すりばち池近くに住むAさんは、池と周辺の緑地に生息する動物が居場所を追われ、住宅地に出没しないかや、豪雨などの際、流入する大量の水をひつ池だけで持ちこたえられるのか、と案じる。
Aさんは市の担当課に懸念を伝えたが、すべて計算ずくで工事は行われるとして、それ以上納得のいく説明は得られなかったという。
一方、市は近隣住民が開発者に意見を伝えたい場合、条例により説明資料受け取り後15日以内に開発事業者に意見書を提出することができたが、実際に意見書の提出はなかった、と。 だが、市民は条例規定を熟知して生活しているわけではない。規定は規定として、市には市民の懸念に寄り添う姿勢がほしい。
ちなみに本紙が事業計画書を公開請求し、文書の説明を求めた際、担当は最初、「業者が作った文書だから業者に聞いてほしい」と言った。公文書として公開している以上、市に説明責任があると主張すると、やっと説明に応じた。今後も開発経過を伝えていく。