鴨谷台に隣接する美木多上に、旧美木多中学のプールが残っている。かつては、夏になれば水音や生徒の歓声が響いていたはずの場所だが、今はプレハブ小屋がぎっしりと並んでいる。有刺鉄線を張ったフェンスに囲まれ、防犯カメラも付いているが、一体何が?。
実はここ、堺市の文化財課が利用している収蔵庫。小屋の中には約1万箱の小さなコンテナが入っていて市内の遺跡から出土した埋蔵文化財が詰まっている。
本来は1986年に建てられた堺市埋蔵文化財センター(南区稲葉)で保管するはずだったが、開館から6〜7年後にはセンターの収蔵庫がほぼ満杯となって保管しきれなくなった。そこで急きょ、このプール跡に白羽の矢が立ち、1993年に整備。プールの形を残したまま、収蔵庫として利用されることになった。
このプールがあった旧美木多中学は1947年(昭和22年)に泉北郡美木多村に村立美木多中学として開校。1961年に堺市立となり、1963年には堺市立福泉南中学へ改編され、現在の福泉南中学がある場所に移転。その時点で、美木多中学の名前は一度消えた。
しかし、ニュータウンの造成に合わせて、今度は福泉南中学から美木多中学を分離し校名が復活。1977年、鴨谷台に今の美木多中学が開校。
収蔵庫として整備される前のプールは久しく使われないまま、水がたまって池のようになっていたそうだ。