弱った樹の回復に最も有効なのは剪定(せんてい)しないことだそうだ。
大枝を容赦なく切り落とす強剪定は人なら腕を切り落とすに等しく、たとえ切り口に薬剤を塗ったとしても害虫や病気に侵されやすく短命化する。経済効率上やむを得ない管理法なのだろうが、樹にすれば強剪定の傷を癒やすべく懸命に葉を茂らす。人が食で回復を目指すのと同じように。けれど、茂ったところでまた切られ、街の樹は生涯理不尽を舐(な)め続ける。
せめて伐採木をゴミとせず暮らしに生かそうと活動するのは「都市林業で街づくり」を著した湧口善之さん。全編を通して樹への温かい眼差しと、樹に魅せられた者の情熱に彩られていた。
(記者・原)
最近読んだ本の中で、「普段の世界にいながら全てを疑う」という研究者の言葉が印象に残った。
自分を省みると、幼い時は「なぜ?」「どうして?」と問いかけていたことも年齢を重ねるうちに様々なことを「当たり前」と思い込んでしまい疑うことをしなくなっている。「どうせ疑問に思ったところでどうしようもない」と諦めてしまう時もある。
ネットで膨大な情報を容易に収集できて便利な反面、情報をうのみにすると危険な場合が多々ある。適度な懐疑心を持って情報を入手する難しさにストレスを感じる。
(記者・髙見)

