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毎日、早朝に富蔵地区で
「普段、自然に触れることのない人達と田畑をつなげるきっかけ作りをしたい」と、本格農家を目指し昨年、泉北で農業デビューした若者がいる。富蔵地区の圃場を拠点に自然栽培にこだわり、この1年で米や麦、サツマイモ、小豆などを収穫。「自然栽培は簡単ではないですが、土の力を引き出しながら育てていき、多くの人が土とふれ合うチャンスを作りたい」と、目を輝かす。
山田晋也さん(茶山台、37歳)は吹田市出身。理容師として働いていた2011年、一人片道切符でヨーロッパへ旅に出た。当時好きだった1930年頃のファッションと文化に触れることが目的だった。フランスの片田舎で滞在した家がその後の山田さんの生き方に影響を与える。自給自足で生活するその家族は、邸宅から手作り。必要なものを工夫して作り暮らす「お金で解決しない生き方」に衝撃を受けた。
2013年に帰国し、「自然の中で丁寧な暮らしがしたい」と、農業を学ぶために岩手県花巻市で1年間農業研修。自然栽培を学び、その後、和歌山県など関西圏内で定住先を探していた。そのさなかに妻・聡子さんとの間に長女・樹子ちゃんを授かったことが分かり、聡子さんの実家近くの茶山台に住むことに。
その後、大工技術を学ぶために4年間、東淀川区まで通い修行。茶山台で朝市を開いていたスマイキーファーム(みないき農業塾OBグループ)メンバーと知り合い、富蔵地区の畑を借りることができたため昨年、「New Village Farm」を新設。準農家としてスタートした。
現在も理容師として働く山田さんは、日の出と共に圃場で作業し、朝8時に家に戻り、支度をして理容店に出勤する毎日だ。今は富蔵のほか畑地区など点在した畑や苗代約1700坪で活動。自然栽培の第一歩として、土を自然に戻す麦などイネ科の作物を、全て種から育てる。
昨年は、秋に茶山台地域の子どもたちを招き、芋掘りも実施。子どもたちは大喜びだった。
4月23日には畑地区の田で稲の種蒔きを実施。田んぼに苗代を作り、直に種籾を蒔き、等間隔になるようピンセットで稲の種を置く気の遠くなるような作業だ。昨年12月には次女・小蒔ちゃんも誕生。種をまく意味を込めた名前だ。「新型ウイルスが心配される今の社会情勢の中でも、まどわされることがない自立した暮らし方をすることが望みです」と山田さん。