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原山プール・利晶の杜・原池野球場…
市税を上回る出費
堺市の永藤英機市長は、市の財政状況について「危機的状況にあり、このままでは2022年度予算が編成できない」という認識を明らかにした。竹山修身前市長時代は「市の財政は健全」としていたが、巨額の施設整備や甘い収支見通しによって、毎年、財政状況が悪化していたという。10月に行われた定例記者会見で明らかにした。
市財政は16年度から市債残高が増え始め、19年度末は24億3600万円となった。これは、「さかい利晶の杜」や「フェニーチェ堺」、「原池公園野球場」「原山公園プール」などの大型施設の建設が相次いだためだという。
2年後の予算編成困難 基金食い潰す
経常収支比率も年々悪化を続け、19年度はとうとう100%を超えて、100・7%となった。人件費や扶助費、公債費など毎年必ず支出する経費を、市税や地方交付税など一般財源で賄えているかを見る指標で、100%を超えると市運営に必要な経費が税収などで賄えないことになる。
こうした状況の中、市はこれまで基金(市の貯金)を年間約90億円取り崩し続け、今年度予算でも91億円の基金を取り崩した。
さらに、来年度の予算編成では新型コロナウイルス感染拡大による税収減や対策強化費のため、135億円の基金を取り崩す必要がある。これによって来年度末の基金残高は59億円となり、22年度の予算編成が困難になるという。
永藤市長は「前市政の見通しの甘さによって、この危機が訪れた」として、財政の裏付けがないまま、市民サービスの拡充や大型施設の建設を進めた竹山前市政を批判した。
南区では、府と近大が主導して決まった近畿大学医学部の泉ヶ丘地区移転にともない、すでに原山公園プールが建設されたほか、今後も泉ヶ丘公園整備や、府から委譲されるビッグバンの運営など多額の出費が見込まれる。